雨が降ると大学を休むと決めていた。
幼少期、カッパを着なくなった時から子供ながらに大人になった気がしていたし、長靴を履いて喜んで水溜まりを踏まなくなった時から、そこに映った無邪気な夢に気付かなくなった。
小さい頃は空を見上げるのも下を向くのも楽しかった。
気付けば大きい傘で、オシャレなパンプスで、水溜まりを避けて生活していた。
大人になるとはそういうことなのだろうか。
今は、晴れた空だけが正しい事のように思えてしまう。
晴れた空の下、しっかりとセットされた髪型で仕事に行き、一日一日を全うする。でも雨が降っても仕事に行くし、たまに水溜まりを踏んで最悪な気分になったりもする。
大学の頃は雨が降らない日だけ、居酒屋の床のせいでアザだらけの足と、明るい色に染めた髪の毛にビニール袋で授業に行っていた。
決まって前期の出席はギリギリだったが、なんとなく、そんな日々が永遠に続いてほしいと思っていた。