kikurageoisii’s diary

東京のOL23歳 

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 少し早めに駅に着いたのに慣れないスーツと髪型に戸惑って、ギリギリに駅の改札を抜け、就活の時のような緊張感でソワソワと入社式を終えた。去年の今日、私は懇親会があるのに財布を忘れ、就活バッグに慣れない書類と緊張感ばかりを詰め込んでいた。

 思えばあの時から、私は少しばかりダメだったのだろうか。昔から、大事な時に有り得ないような忘れ物をするし、友達との待ち合わせには間に合わないし、人とほんの少しだけ違う、個性と言うには劣っている自分のはみ出し方が気に入らない。しかしその日ばかりは、自分の社会的な不十分さを無理やり認めずに、なんとかよーいドンで就活をしてねじ込んだ社会で淡々と、しっかりと歩みだしたように見えた。その瞬間、その日、その年の桜はその時の私には確実に美しく見えた。


 今年の桜の開花はとても早かったし世の中はそれどころではない。世界で起こっていることが映画の中の事のようだし、一方で連日のニュースに心はすごい速さで疲弊する。そんなのも私だけなのだろうか?街に出たら人は沢山いるし若者の心は死なない。少なくとも私の周りでは時間はとめどなく流れる。このまま来年の五輪開催の夏までとめどないのだろうか。

 

 とめどなく流れる毎日の中で仕事をしていたら、ある日俯いた瞬間に涙が止まらなくなってしまった。冷静に文章を書いていたら笑えてしまうが、その時自分の様子の可笑しさに気付いた。今更メンヘラ芸なんて、と呆れる。

 のほほんと生きてきた私はとめどない社会の中でひとり立ち止まってしまった。それどころではない状況の中で自分本位で立ち止まるのなんていかにも私らしい。

 すべてが止まってしまえばきっといっそ楽なのだが、そういう訳にもいかない。 

 泣きながらご飯を食べられる人は生きていけるらしい。私の箸を持つ手は止まらない。

 次回はバリバリ働いている現場からお届けしよう。少し待っていてね。

 

みんなもどうか無理しないでね。