私はアイドルが異常なまでに苦手、というか嫌いまであるのだが、これは完全に幼少期からの母親の影響である。
我が家ではアイドルがテレビに出ていると直ぐにチャンネルを変えていたし、私も変えなきゃいけないんだ、と思っていた。こんなのが日本の音楽シーンで上位独占してるなんて終わってる。みたいなことを常々母親は言っていた。歌が下手なのに容姿だけで音楽と名乗っているのがすごく気に食わなかったようだ。
幼心に私は、アイドルは悪い存在なのだと思うようになった。
なんだかその呪縛が今でも解けなくて、歌が上手いアイドルがいても、何故歌手ではなくアイドルとして活動しているのだろう。と疑問に思ってしまう。
「チヤホヤ」に対して嫌悪感があるのかもしれない。容姿だけでチヤホヤされることを今でも悪だと思ってしまう。褒める人も、褒められる人も卑しいと思ってしまう。異常に中身にこだわってしまっている。
店に立っているとよく褒めていただけるけれど、たまに私はその場の空気に耐えられなくなってしまう。場の空気が私だけに集まることが居心地が悪いのかもしれないし、私の不細工な中身を知らないくせに、なんて偉そうな事を思ってしまっている。大抵の場合、言葉は表面を滑り落ちるから、表面だけを褒めたりすることを多分無意味だと切り捨てている。
本当は死ぬほど嬉しいのにね。
褒められたくて堪らない自分に気付いている。
小さい頃の私は、きっとアイドルになりたかったんだと思う。