kikurageoisii’s diary

東京のOL23歳 

美しさ

美しさは、輪郭を失った方が綺麗なのかもしれない。

 

光には輪郭がない。

六本木、欅坂のイルミネーションを初めて見た時、ひどい近視と乱視で、それはそれは世界が綺麗に見えた。光の粒一つ一つが輪郭を失い重なり合い交差して、目の奥の、なんていうか脳に近い部分、多分涙が溜まる場所に直接美しさを届けた。

光の中にいると自分がとても綺麗になった気がして、写真を撮るよりもずっと、そのぼやけた美しさを見ていたかった。

外見ではなく内面に届く美は輪郭を持たない。

 

音にも輪郭がない。

ライブハウスで、内臓まで響くような轟音を全身に感じている時、私は重力さえも失った気持ちになって、体を支える力がフッと抜ける、ただ輪郭のない音に全身を任せる。そんな経験を幾度かしたことがある。轟音に包まれた時、私は限りなく心地よい無力になる。

人間の精神の最も美しい状態。

 

優しさにも輪郭はない。

優しさに数字や確かさを求めた時、ふと私は自分の卑しさに打ちひしがれる。

形の無いものを手渡すという矛盾。

丁寧に作られた優しさを、丁寧に手渡したい。

大切にしたいのに、形を確かめることは出来ない。

だからこそ私達は繊細に作られた優しさという美しさを、人生に散りばめて生きたいのかもしれない。

 

私は今日も、輪郭のない美しさに気付けるように、美しい人になりたい。